ごあいさつ

この度、聖路加国際病院形成外科で第36回日本美容外科学会総会を主催させていただく事になりました。形成外科職員一同、大変光栄に感じております。

当院は1902年の開院以来、関東大震災や戦争などの多くの困難を乗り越え、常に高いホスピタリティーとアメニティを維持した病院として機能してきました。そして100年以上の長い歴史を超え、2004年に形成外科が新設されました。機能再建と美容外科は形成外科における車の両輪という考えにのっとり、設立当初より積極的に美容外科に取り組み、マイクロサージェリーによる再建外科と共に形成外科診療の大きな柱として位置付け、邁進してまいりました。今まで大学の形成外科学教室と形成外科を基盤とした美容外科を実践されてきた諸先輩によって主催されてまいりました本学会が、地道に美容外科診療に取り組んで来た総合病院で主催されます事は極めて大きな意義があると感じております。同時に与えられた使命も大きなものと、身の引き締まる思いであります。

学術集会開催にあたりテーマをProgress and Harmonyとさせていただきました。近年手術手技ばかりで無く、non surgicalな面の発展も目覚ましく、さらには再生医療領域の技術も広がってまいりました。これらの最先端を論じる事は学術集会の大きな役割ですが、加えてそれらの技術と社会のニーズの調和こそは、安全で快適な人生を支援するこの領域の重要な視点と考えたのです。

特別講演は慶応義塾大学、神経美学/感性心理学の川畑秀明先生をお招きし「脳は美をどのように感じるか」と題してご講演いただきます。感動する時の脳の働きを、感動する美術作品と絡めて興味深くお話しいただけます。審美的な医療者である本学会員にとっては極めて興味深い内容になると考えております。

海外からの招待講演はJack Gunter先生による究極のRhinoplastyについて講演していただきます。米国を代表するRhinoplastyの第一人者で、我が国のRhinoplastyの考え方に大きな影響を与えた先生のご講演を直接拝聴できるまたとない機会となりましたことは、日頃からRhinoplastyを多く手がけております主催者としては感無量であります。

そして今回、美容外科という領域の社会における位置付けを再確認し、新たな未来に向かう指針とすべく、形成外科医、美容外科医以外の有識者をメンバーとした特別シンポジウム「美容外科の社会的位置  今までとこれから」を企画致しました。また学会や専門医制度のあり方を含めた「未来への提言」を当学会員へのアンケート結果を踏まえて議論致します。転換期にあると感じられる会員諸兄に必ずや新たな方向性を見いだすトリガーになるものと確信しております。

International Panelでは眼瞼、鼻、胸、フェイスリフト、再生医療などにそれぞれのエキスパートを海外からお呼びし、国内のベテラン医師との討議を計画しております。

また今回の学術集会に引き続いて国際美容外科学会(ISAPS)シンポジウム(高柳進コースディレクター)を開催致します。8名の海外からのエキスパートを含めて眼瞼の手術に特化したシンポジウムを行います。最先端の問題点とその対処のみならず、現在考えうる最高峰のLectureでもあります。眼瞼の手術は最もポピュラーな領域です。是非ともこの好機を逃さないよう学術集会とあわせて参加されますようお願い申し上げます。

その他市民公開講座として「active life、well agingをサポートする医療」として、少しでも多くの方に認知していただくよう準備を致しております。

第36回日本美容外科学会総会
会長 大竹 尚之
聖路加国際病院 形成外科部長

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